本日は、「元祖 ・房総らーめん」さんにお邪魔しました。行列ができるほど人気のあるお店です。こちらは、前身である「ら~めんコジマル」を2016年6月に開業し、茂原を代表する人気店となりました。その後、現在の「元祖・房総らーめん520」として2024年8月28日に移転開業しました。今回は、お店の紹介とともに、店主の小島さんに房総ラーメンに至るまでのお話を伺いました。

こちらはJR外房線「茂原駅」(893m)南口からから徒歩約10分、県道84号茂原長生線沿いにあり、目の前に長生高等学校があります。

駐車場は3ヵ所に分かれています。店舗裏に3台、トランクルーム横に4台、茂原武道館方面に徒歩1分、アパート前に3台あります。
すべて満車の場合はスタッフまで声をかけてほしいとのこと。

店内はカウンター席が4席、堀座卓が2つ(4人掛けと6人掛け)、テーブル席(2人掛け)が4つありました。堀座卓は半個室のようになっていますので家族連れでも利用できそうです。
券売機などはなく、支払いはテーブルで後払いになります

店舗前に自動販売機があり、こちらの飲み物に限り店内への持ち込みが可能です。店内にはセルフサービスで利用できるお冷もあります。
これが一番人気の房総ラーメン

看板商品でもあり、一番人気の房総ラーメン(900円税込)をお願いしました。麺は太麺(200g)と細麺(180g)のどちらかを選びます。大盛りにする場合は、通常の1.5倍の量で追加料金として+200円となります。ただし、学生の方は学生証を提示すると、大盛りが無料になるそうです。

スープを一口飲むと、魚介の風味が口いっぱいに広がり、玉ねぎが良いアクセントになっていて、とっても美味しい!
お聞きしたところ、九十九里産のカタクチイワシと国産鶏の胴ガラを絶妙なバランスでブレンドし、丁寧に炊き上げた出汁に甘辛いカエシを重ね合わせたスープだそうです。
材料は千葉県産にこだわっており、「九十九里産の煮干し」「長生ネギ」「国産鶏」「千葉県産の玉ねぎ」「千葉県産のバラ海苔」を使っているそうです。新玉の季節には「白子の新玉ねぎ」になるそうで、その時は旨味もさらに増すそうです。

見てください。このボリューム!麺は太く、配合も「コジマル」の時代から変更され、現在のスープに最適なものになるよう、幾度も試作を重ねた結果、生み出されたそうです。
比類なきモッチリ感を実現しており、一口食べるだけで、その独特の食感が口に広がります。コシが程良く保たれ、スープと絶妙に絡み合うことで、より深い味わいを生み出しています。 まるで麺そのものがスープの一部であるかのような一体感があり、食べるたびに幸せな気持ちにさせてくれます。

チャーシューは温かく、表面は炙られており、外側は香ばしく程よい焦げ目がついています。見ただけで今にも崩れそうなほどの柔らかさが伝わり、口に入れた瞬間、肉の繊維がほどけるように舌の上で溶け、噛むことなく自然に口の中でとろとろと崩れていきます。お店の方に聞いたところ、「じっくり煮込んだ後、タレに漬け込んで味を染み込ませた自家製なんです」とのこと。一口食べるたびに幸せな気分にさせてくれます。とても美味しい!
美容師からラーメン職人へ

店主の小島さんは、30歳まで美容師として活躍していました。東京や千葉に数十店舗を構える某チェーン店で、店長から営業本部長という経験を積んでいました。しかし、使用する薬剤がどうしても肌に合わず、これが転機となって転職を決意したそうです。
小島さんにはもう一つの情熱があったのです。それがラーメンです。美容師時代、彼は同僚たちと共にラーメン部を立ち上げ、休日には話題のラーメン店を巡るほどの情熱を持っていたのです。
波乱に満ちたラーメン屋経営 ~小島さんの挑戦と苦悩~

35歳の時に茂原市にてら~めんコジマルを開業することができ、お店は瞬く間に地域の人気店として成長しました。しかし、不運が訪れました。茂原市は大雨による浸水被害に見舞われ、そして、小島さんの店、『コジマル』もその被害を免れることはできませんでした。

多くの人が「保険金が出たのでは?」と思うかもしれませんが、実際には保険金は一切下りず、利用することはできなかったそうです。

不運は続き、その数年後、再び大雨に見舞われ、ニ度目の浸水被害を受けました。
自然災害の脅威を考えると、安心して営業を続けることはできないと感じるようになった小島さんは、心に決めました。「撤退する」という決断でした。

当時のことを振り返って、小島さんはこう語ります。「初めてのお店ということもあって、当然想い入れがありました。看板を降ろす瞬間は、本当に辛かったです。」

小島さんは「一度は本当に完全に撤退しようと考えました。しかし、離れている間に、茂原の人たちに会いたいという思いが募るばかりでした。リスクよりもその思いを優先し、この地へ帰りたいと思うようになりました。」
店名を「元祖・房総らーめん520」と改め、ブランドのリニューアル

スープのレシピはゼロから考え直し、麺や、具材も全て変えた。これまでの味を超え、さらに多くのお客様に喜んでいただけるよう目指した。
「例えば、スープで使われている、カタクチイワシは地元の業者さんとの長年にわたる信頼関係のもとで手に入れている食材です。他にもっと安く仕入れる方法があるかもしれませんが、それよりもこのご縁を大切にし、信頼ある地元の業者さんと共に成長していくことを選びました」と語る。
新たな門出を迎えるスタッフ —— 義理と人情で結ばれたチーム

取材日、その日はたまたま出勤最後の日だったアユカさん。実はコジマル時代から働いており、コジマルが閉店した後、他のバイト先で働いていましたが、小島さんお店が開店するという知らせを聞くやいなや、迷わずそのバイト先を辞め、再び小島さんの元へ戻ってきたのです。
小島さんは「この子たちは家族のように思っています。とにかく『義理と人情だけは大事にしろ』とだけ教えています。「この先、別の道に進むことになっても、このことだけは忘れないでほしい」と語ってくれました。

この日の営業終了後には、ささやかな送別会が行われ、小島さんが用意したケーキや料理でお祝いがされました。「義理と人情だけは大事にしろ」という言葉を、小島さん自身がその行動で示していた
変わるもの、変わらないもの

復興の過程で、店の外から温かい声をかけてくれる多くのお客さんの光景がありました。今でもそのことを話すと、感情がこみ上げてきます。「『コジマルがんばれー!』と、店の前を通る人たちが声をかけてくれるのです」と小島さんは振り返ります。
さらに感動的だったのは、古くからの常連客たちの存在です。彼らはただ応援するだけでなく、自ら店に駆け付け、一緒に復興作業を手伝ってくれることもありました。小島さんの心に深く響きました。その当時、小島さんは涙を流しながら作業していたそうです。 「今でもこの話をすると、こみ上げてくる思いがあります」としみじみと語る。
夢は大きく持っていたい

小島さんは「これからはラーメン業界全体を盛り上げること、そして地元である茂原の街を再び活気づけたいんです」 「夢は常に大きく持ってます」と力強く語ります。
お店の場所は変わった。
店の名前も変わった。
麺も変わった。
スープの味も変わった。
ラーメンへの情熱、それだけは今も変わらない。

元祖・房総らーめん520
住所:千葉県茂原市高師町3-11-6
TEL:047-38-7825
支払方法:現金のみ
営業時間:
昼-11:00〜14:30
夜-18:00〜21:00
定休日:木曜
インスタグラム : bousou_ramen520
X : @BOUSOURAMEN_520